Lubricator 塗油器(潤滑装置)
機械設備の摩擦部分を潤滑して摩耗を防ぎ、動作効率向上と設備寿命延長を実現する塗油器は、ものづくり現場を支える製品です。
1959年、国鉄車両部品への指定から始まった当社は、手作業から自動潤滑化へのニーズに応え、独自の「超微量高性能FUJI MATICポンプ」を開発。鉄道分野を皮切りに、様々な産業へ展開し、生産性向上に貢献してきました。
電源・エアー源不要の独自のメカニズムと性能、高い耐久性により発揮される当社製品の潤滑効果は、国内外で高く評価され信頼を得ています。

生産効率と安全性を向上させ、
製造現場の課題を解決する
潤滑・保全ソリューション
生産ラインである天井クレーンやチェーン、ギアなどの安定稼働は、製造業にとって事業の要です。
その突発的な停止は生産活動全体に大きな影響を及ぼし、大きな損失につながります。
(01) 現場が抱える様々な課題
- 保守費用の発生
- メンテナンス
作業時間の長さ - 高所作業の危険性
- 作業者の経験や
スキルへの依存 - 属人化による
作業品質のばらつき - 狭小空間でのメンテナンス
そのお悩み、
私たちがすべて解決します!
“潤滑装置(塗油器)の
リーディングカンパニー”として、
約70年にわたって
“世界のものづくり” を
縁の下で
支えてきたヒューテックオリジンは、
クレーンのフランジやレール、
ワイヤー、ギアまた
コンベアチェーンなどの
様々な箇所に対応する豊富な製品ラインナップで
御社の課題解決に貢献します!
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経済的なメリット
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人の手で行っていた潤滑保全を自動化し、省人化が可能です。
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機械の寿命が延び、取替え費用を大幅に抑制できます。
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車輪、レールなどの取替えを減らす回数を減らし、
生産停止日数を減らせます。
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環境面・安全面のメリット
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フランジ、レールの摩耗によるクレーンの事故・停止を防止します。
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人の手による塗油作業の際に発生する、高所からの落下や巻込みなどの事故を未然に防ぎ、安全性が向上します。
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クレーンの走行騒音だけでなく、抵抗が減少することで消費電力が減り、CO₂を削減し環境負荷軽減に貢献します。
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導入事例
鉄鋼・造船・港湾・自動車などの主要な製造業の現場において、
日本国内だけでなく海外でも長年に渡ってご利用いただき、世界のものづくりを縁の下で支え続けています。
(01) ヒューテック・オリジンの塗油器が活躍するものづくり現場
製鉄所を起点とした一例です。
製鉄所で精製・加工された鉄が鉄道で輸送されて、様々な製品に加工される製造現場へ、
その製品が港から世界各地へ出荷される、この一連の流れのそれぞれの場面で当社の塗油器等の製品が活躍しています。
(02) 当社製品の取付設備と用途(一例)
業界 | 設置場所 | 対象設備 | 用途 | 取付可能な当社製品 | ||||||||
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CL10 | F | GF | RR/RG | RVF | BF | CF | CR | CS | ||||
鉄鋼 | 熱延・冷延工場 | 円型・天井クレーン/搬送台車 | ・クレーンの走行車輪/ 横行車輪への塗油 ・クレーン走行レールへの塗油 |
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冷延工場 | リフマグクレーン | |||||||||||
コイルヤード(倉庫) | コイルリフター/コイル搬送車両 | |||||||||||
岸壁 | 岸壁用コンテナクレーン | |||||||||||
製鋼工場 | レードルクレーン | |||||||||||
原料ヤード | リクレーマー | |||||||||||
岸壁 | 岸壁用コンテナクレーン | 巻上用ワイヤロープへの塗油 | ||||||||||
原料岸壁 | アンローダ | |||||||||||
構内車両 | トーピードカー | 走行車輪への塗油 | ||||||||||
鋼台車 | ||||||||||||
造船 | ドック | 天井クレーン、ゴライアスクレーン | クレーンの走行車輪・横行車輪への塗油 | |||||||||
ジブクレーン | クレーン走行レールへの塗油 | |||||||||||
ゴライアスクレーン | 巻上用ワイヤロープへの塗油 | |||||||||||
港湾 | 岸壁 | 岸壁用コンテナクレーン | クレーンの走行車輪・横行車輪への塗油 | |||||||||
巻上用ワイヤロープへの塗油 | ||||||||||||
コンテナヤード | トランスファークレーン | |||||||||||
自動車 | 全箇所 | コンベアチェーン各種 | コンベアチェーンへの給油 |
上記以外にも多数の実例がございます。
お気軽にお問合せ・ご相談ください。
(03)
製品取付事例
(製鉄所の天井クレーン)
クレーン車輪の潤滑により、
コスト削減と安定稼働を実現!
鉄鋼業のクレーン運用において、最も高額になる保守費用は摩耗による車輪やレールの交換です。
鉄鋼事業の収益性は保守費用と密接に関連しています。グローバル事業においては保守費用の削減が不可欠です。
当社の塗油器は走行・横行レールの両方に導入可能で、総合的な潤滑ソリューションを提供します。

製品について
(01) 製品一覧(一部)
産業用クレーン・ギア・ロープ・チェーンに特化した多種多様なモデルをラインナップ!
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湿式塗油器
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レール用塗油器/RVF型
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クレーン用フランジ塗油器/F型
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ロープ塗油器/RR・RG型
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ギヤ塗油器/GF型
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トレッド塗油器/VF型
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低速車両用フランジ塗油器/BF型
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ワイヤーロープ塗油器
/RWF型 -
(給油器)
チェーン自動給油装置
CS型 -
(給油器)
チェーン自動給油器
CR型
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乾式防摩器
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乾式フランジ防摩器
/CL‐10型 -
乾式フランジ防摩器
/CL‐20型 -
乾式防摩器/MCL型
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※上記に掲載のない製品や、出油部分の向き、取付ブラケットの異なるモデルもございます。
また既製品のカスタマイズや新製品開発なども承っていますので、お気軽にお問合せください。
(02) 潤滑方式の違いによる機器選定
潤滑方式 | 湿式(オイル) | 乾式(固形潤滑剤) |
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製品導入効果 | 車輪は4〜5倍、レールは2〜3倍に設備寿命を延長、 またクレーンの蛇行・走行抵抗を減少させて消費電力が抑えられる |
車輪フランジへ潤滑剤を塗付し、フランジ摩耗を抑制できる |
用途 | 走行車輪のフランジやレールの摩耗軽減 | 天井クレーンや油を嫌う場所での車輪フランジ摩耗防止 |
使用する潤滑剤 | 潤滑油(当社指定の潤滑油、もしくは相当品) | 専用潤滑棒 (二硫化モリブデンを主成分とした固形潤滑剤) |
特長 | 乾式に比べ、摩耗抑制効果が高い 電源・エアー源を必要とせず、摩擦面へ極微量の潤滑油を塗油 油量を調整できるため、可動率により適正な油量を保つことが可能 |
固形潤滑剤を用いるため、油を嫌う場所に取付が可能 湿式に比べ本体がコンパクトなため、 小さい車輪や狭所に取付けし易い |
留意点 | 適正な油量調整が必要 | 屋外で使用した場合、 雨等により塗布した潤滑剤が流されることがある |
メンテナンス作業 | 潤滑油の補給、塗油輪の交換 | 潤滑棒の交換 |
選定のポイント | 摩耗の抑制効果から考えると、まずはこちらを選定します | 取り付け場所において、油を使用したくない、 取り付けスペースが確保できない、 小さな車輪に対して取り付けたいなどの理由により選定します |
(03)
塗油器の基本構成
(標準セット)
塗油器本体、オイルタンク、それを繋ぐホースで構成されます。
※タンク容量、ホース長はご使用環境に応じてお選びいただけます。

(04) ヒューテックオリジンの潤滑装置が選ばれる理由
自動給油による適切な潤滑油の塗布により部品の摩耗を抑制して交換周期の延長によるコスト削減に貢献するだけでなく、
メンテナンス時間の短縮による省人化、高所などでの危険な作業を減らして作業員の安全確保を実現します。
経済面・安全面・環境面、トータルで“ものづくり”を支えることが可能な点がヒューテックオリジンの塗油器が選ばれる理由です。

超微量高性能“FUJI MATICポンプ”
当社が独自に開発した、超微量高性能“FUJI MATICポンプ”は塗油効果が高く、シンプルながらも精緻な構造で塗油効果も高く、他社に模倣のできない当社独自の部品として製品(※一部)に組み込まれ、世界中の製鉄所を中心に広く製品をご利用いただいています。また海外では「FUJI MAGICポンプ」の愛称で知られています。
- ポンプを稼動させる
電源やエアー源が不要 - 希望する適切な油量に調節可能
- 塗油輪が右回転でも
左回転でも同様に出油
塗油器導入効果に
ついてのデータ
製鉄所の協力により取得した塗油器使用データの一部をご紹介します。
当社塗油器の導入効果についてご覧いただけます。
(01) クレーン車輪フランジの摩耗測定
塗油器導入前の状況
車輪交換の基準:摩耗限界14mmを超えると車輪を交換する
車輪の平均寿命(塗油器導入前):2006年には1年、2007年には6ヶ月未満であった。
結果的に、フランジ摩耗により2006年に8個、2007年に18個の車輪を交換した。
1カ月平均で1.2~2.4mmの
フランジ摩耗が発生していた
調査概要
2007年12月〜2008年4月の期間で、当社製品「レール用塗油器/RVF-1800型」の導入効果を試験した。
8個の車輪のフランジ厚みの摩耗量について、2007年12月2日に初回測定、その後RVFを取付して期間内に3回追加測定した。
(測定条件)
調査先 | SAIL(インド鉄鋼公社)ビライ製鉄所 |
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クレーン種類 | レードルクレーン |
稼働時間 | 24時間 |
車輪径 | 800mm |
周囲温度 | 45℃ |
クレーン設置場所 | 製鋼工場 |
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クレーンサイズ | 180+50 / 15トン |
レール幅 | CR 120 |
クレーンの車輪数 | 片側8車輪 |
クレーン稼働環境 | 多粉塵 |
内側フランジの厚さ
車輪 番号 |
調査日 | 4カ月での 摩耗 |
月あたりの 平均摩耗 |
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2007/12/2 | 2008/1/7 | 2008/2/28 | 2008/4/8 | |||
1 | 21.90 | 21.50 | 21.40 | 21.40 | 0.50 | 0.13 |
2 | 23.10 | 22.00 | 21.20 | 20.60 | 2.50 | 0.62 |
3 | 27.10 | 27.10 | 27.00 | 26.90 | 0.20 | 0.05 |
4 | 26.90 | 26.90 | 26.80 | 26.80 | 0.10 | 0.02 |
5 | 18.40 | 18.00 | 17.80 | 17.80 | 0.60 | 0.15 |
6 | 20.10 | 19.40 | 18.40 | 18.30 | 1.80 | 0.45 |
7 | 27.90 | 25.80 | 28.20 | 28.20 | 0.00 | 0.00 |
8 | 28.00 | 28.00 | 27.20 | 26.40 | 0.80 | 0.40 |
(単位:mm)
平均:0.23
1カ月あたりの平均摩耗量が
0.23mmに抑制された。
外側フランジの厚さ
車輪 番号 |
調査日 | 4カ月での 摩耗 |
月あたりの 平均摩耗 |
|||
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2007/12/2 | 2008/1/7 | 2008/2/28 | 2008/4/8 | |||
1 | 28.30 | 28.30 | 28.30 | 27.50 | 0.80 | 0.20 |
2 | 27.10 | 27.10 | 27.10 | 26.90 | 0.20 | 0.05 |
3 | 27.10 | 27.10 | 27.10 | 27.10 | 0.10 | 0.03 |
4 | 29.00 | 29.00 | 28.80 | 28.80 | 0.20 | 0.05 |
5 | 33.00 | 32.50 | 32.40 | 32.40 | 0.60 | 0.15 |
6 | 25.10 | 25.00 | 24.80 | 24.80 | 0.30 | 0.08 |
7 | 28.10 | 28.00 | 27.90 | 27.80 | 0.30 | 0.08 |
8 | 30.00 | 29.50 | 29.10 | 28.70 | 1.30 | 0.33 |
(単位:mm)
平均:0.12
1カ月あたりの平均摩耗量が
0.12mmに抑制された。
SAIL(インド鉄鋼公社)ビライ製鉄所による結論(検証レポートより)
ヒューテックオリジン塗油器の使用により、車輪の最大摩耗量は1カ月0.62mmに抑えられ、期待寿命は22.6ヶ月へと大幅に向上しました(未使用時は6ヶ月~1年)。レール上での滑りは発生せず、周囲へのオイル飛散やほこりによる動作不良もなく、レール自体の摩耗も見られませんでした。オイル消費量は4ヶ月で4.5リットルと僅かでした。結論として、レール塗油器(RVF)は性能が良好で車輪摩耗を低減させ、クレーンの性能向上策として効果が認められたため、段階的に他の箇所への導入を推奨します。
(02) フランジ摩耗によるクレーン車輪の交換頻度の推移
製鋼/転炉工程にある各種クレーンごとのフランジ摩耗による車輪の交換回数を2006年~2014年10月の8年間に渡って調査しました。
調査先 | SAIL(インド鉄鋼公社) ドゥルガプール製鉄所 |
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クレーン設置場所 | 製鋼 / 転炉工程 |
調査期間 | 2006年〜2014年10月 |
クレーン種類 | 出鋼クレーン / 注湯クレーン |
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スラグポット運搬クレーン | |
スクラップ運搬クレーン | |
溶銑装入クレーン |
クレーンの名称 | 2006 | 2007 | 2008 | レール塗油器/RVF1800導入後 | |||||
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2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | ||||
出鋼クレーン / 注湯クレーン | 7 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 | 0 |
スラグポット運搬 | 3 | 0 | 5 | 0 | 1 | 5 | 1 | 1 | 1 |
スクラップ運搬 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 2 | 1 | 0 |
溶銑装入 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
合計 | 11 | 4 | 10 | 0 | 1 | 7 | 3 | 7 | 1 |
平均 | 8.3回/1年 | 3.2回/1年(-61%) |
塗油器の導入成果
2009年のレール塗油器RVF-1800の導入を境に、1年間の平均交換回数が8.3回から3.2回と約4割弱まで大幅に減少し、メンテナンスコスト削減と省時間化が実現した。